2024 年 5 巻 3 号 p. 834-841
本論文では,地中レーダと航空機搭載合成開口レーダを用いた大規模自然災害の行方不明者捜索手法を提案し,実際に東日本大震災の行方不明者捜索に適用した結果について述べる.まず,800MHz帯地中レーダを用いた砂浜海岸における地中物体の検出について実験的に確認するとともに,FDTD 法を用いた検出できる物体の大きさや深さについて理論計算で確認する.次に,Lバンド航空機搭載合成開口レーダを用いた砂浜海岸における地中物体の検出実験について述べる.最後に,東日本大震災の津波災害で多くの行方不明者が出た宮城県名取市閖上海岸において実際の行方不明者捜索に適用し,2014年9月から2020年3月までに地中から検出した物体の個数や種類および検出深さについて述べる.