2025 年 6 巻 1 号 p. 224-232
本論文では,限られたデータで道路構造物の点検画像から正確な損傷程度を判定するため,データ拡張を用いたin-context learningを導入した損傷程度分類モデルを提案する.従来の損傷程度分類モデルでは,点検画像における損傷程度の曖昧さを未考慮であることおよび高精度なモデルを構築するために大規模なデータセットを必要とすることが課題であった.これに対し,提案手法では,事前学習済みのLarge Multimodal Model(LMM)を使用し,データ拡張を施した点検画像(拡張画像)を利用したin-context learningの導入により,少量の点検画像から損傷程度分類の曖昧性に対応可能なモデルを構築する.各拡張画像それぞれの分類結果を統合し,最終的な出力を生成することで,正確な損傷程度分類を実現する.本論文の最後では,実際の点検画像を用い,他の手法との比較により提案手法の有効性を検証する.