2025 年 6 巻 1 号 p. 331-339
本研究では,3Dプリンティング(3DP)で作製される積層体の物質移動抵抗性に積層パスが及ぼす影響を分析した.その結果,粗大空隙の形状や形成箇所,水分逸散性状,吸水量,水分浸透深さに積層パスによる差異が見られた.積層パスによる差異が見られた要因として,積層パスの種類により,列界面と層界面の交差箇所に形成される連続性を有する空隙の形成箇所が変化し,水分移行経路の特徴に違いが生じたことが挙げられる.累積空隙量と吸水量や水分浸透深さの関係を分析した結果,積層パスに応じて相関関係が変化し,積層パスの種類により水分移行経路の特徴が変化する可能性が示唆された.本検討結果を踏まえると,物質移動抵抗性を確保するためには,水の侵入方向と同一方向に連続性を有する粗大空隙が形成されないようにすることが重要と考えられる.