2025 年 6 巻 1 号 p. 53-74
国土交通省は「i-Construction 2.0」を策定し,建設現場のオートメーション化を推進している.港湾の建設現場においてもICT施工や3次元データを導入し,生産性向上や労働環境の改善等を図っている.例えば,グラブ浚渫船の施工履歴データを活用した床掘工の出来形管理などの試行工事が始まっている.BIM/CIMの原則適用も開始され,一定規模以上の工事で活用し,3次元データを共有するクラウドも構築中である.さらに,物流,管理,インフラの3分野の情報を一元化するデータプラットフォームの運用も開始している.インフラ分野では,港湾施設の計画から維持管理までの情報を電子化し,GISから一元的なアクセスを可能としている.また,港湾工事の脱炭素化を目標として,CO2排出量の算定ガイドラインを策定するなど,効率的なCO2排出量の削減方策を検討している.なお,本稿は,第5回 AI・データサイエンスシンポジウム(2025年11月21日)の招待講演の内容を,講演録としてとりまとめたものである.