2025 年 6 巻 3 号 p. 287-295
本論文は,従来の数値解析による氾濫域予測の代替手法として,深層学習と次元圧縮技術を組み合わせた浸水域予測手法を提案し,その汎化性能および予測精度の向上について検討を行ったものである.次元圧縮手法として,特異値分解(SVD),非負値行列因子分解(NMF),およびオートエンコーダ(AE)を採用し,深層学習手法としては,DNN,RNN,LSTM,GRUを用いた.DNNを用いた浸水域予測手法は荒川の浸水シミュレーションに適用し,リアルタイム性と精度の両面から手法の妥当性を検証した.また,浸水域の時間的変化を考慮するために時系列処理に適したRNN,LSTM,GRUの適用も行った.その結果,約22万次元の浸水域データを10次元まで圧縮しても高精度かつ高速な予測が可能であり,特にNMFは精度と計算効率のバランスに優れることが確認された.また,LSTMはDNNと比較して予測精度の向上に寄与することが確認された.