2025 年 6 巻 3 号 p. 303-315
日本全国の自治体公式ウェブサイトを対象に,ハザードマップ掲載ページへの到達経路を分析した.手動探索およびWebクローリングを用い,クリック数・語彙・構造の3点から経路を検討した結果,9割以上の自治体でトップページからクリック数3以内で到達可能である一方,人口の少ない自治体では多くのクリックを要する傾向が確認された.また「防災」「くらし」などの語彙の出現はクリック数に応じて傾向がみられ,構造面では経路が直線型・ツリー型・集約型などに分類された.また最短経路構造の縮約を行い,約2割の自治体でハザードマップを見つけにくい構造が存在していることが分かった.これにより,防災情報発信の特徴を体系的に把握でき,より到達しやすい情報設計への示唆が得られた.