2026 年 7 巻 2 号 p. 186-194
ある道路橋の社会的価値は,橋梁単体の属性に帰属されるものではなく,架橋地点に固有の地理的特性,道路ネットワーク上の位置,利用形態の変遷,設計コードの更新といった社会的な文脈との相互作用によって決定されるという仮説を立て,そのうち,特に交通性に関する価値の検証を行った.併せて,膨大なデータから構造物の価値を機械的に抽出する手法を開発し,既存の定型的な定義に依らない価値の同定を試みた.結果,事前の定義を行わずとも,各橋梁が有する代替不可能な価値を客観的に抽出できることを示した.これは,ネットワーク構造上の相対的関係から価値が生成されるプロセスを実証したものである.本手法により,判断の属人性を排除した客観的かつ説明可能な意思決定支援が可能となり,実務上の行政的判断を高度化する指針を得た.