2026 年 7 巻 2 号 p. 98-109
本研究は,科学的根拠になるべく忠実な海洋デジタルツインを構築すべく,水質から海色を再現するための基礎的なデータ収集・観測・データ解析・モデル構築を予備的に実施したものである.(a) 水質から一定程度水色が予測可能であることを示し, (b) 光の波長別の減衰(吸収と分散)に伴って決定させる物理プロセスを表現する微分可能な物理モデルと透明度板観測結果を融合して,同じ海域でも波長別の光の減衰特性が異なる可能性があること予備的に確認した.藻類・海草・海藻などの光合成を行う生物は生育時に活用している光の周波数帯が異なるが,こういった光を利用する生物の生育環境の評価や数値予測は光量子の減衰の程度や透明度などの評価に留まっており,波長別の減衰の程度にはこれまであまり着目されてこなかった.本研究の成果は,リアルな海洋デジタルツインの構築を目指すと同時に,生物の生育環境のより正確な観測・評価手法の提案も目指した取り組みである.