2022 年 1 巻 1 号 p. 345-355
わが国の道路のうち市町村道の供用延長は約84%を占めており隅々まで拡がっている.市町村は技術系職員の不足や財源不足を抱えており,多方面での業務省力化が求められている.一方,道路整備・維持管理における現況交通量の計測は重要な基礎資料の収集である.本稿では,財源不足と技術系職員不足を抱える地方公共団体のうち玉名市役所を事例とし,直営の交通量調査の問題点を分析するとともに,限られた資源(職員・予算)の制約下で業務改善を図るため,トレイルカメラ(赤外線検知カメラ)を用いた簡易交通量調査を実践する.この実践結果を踏まえた上で更なる課題を抽出し,人工知能を用いることで業務省力化を図るローテクとハイテクを融合させた簡易交通量調査について述べる.