2022 年 1 巻 1 号 p. 429-438
長期にわたって健全な状態で供用を続けるためには,高架橋等の構造物の状態を将来にわたり把握することが重要であり,劣化予測は構造物の状態を時系列で推測するものである.鉄筋コンクリート構造物の性能低下は鉄筋腐食によるものが多く,その劣化速度は中性化速度,塩化物イオン濃度,かぶり,コンクリートの含水率等の要因との相関がある.これまでの暴露試験や促進試験から得られた劣化速度予測式や各影響要因ごとの調査結果を用いて各要因のばらつきを考慮したモンテカルロシミュレーションを実施し,構造物単位での劣化予測を実施した.劣化予測結果は補修実績を概ね再現できていることから,将来の状態を予測できていると考えられる.