2022 年 1 巻 1 号 p. 445-451
橋りょうの支承部は,上部工の荷重を下部工に伝達する重要な部位であり,時代の変化とともに,その時点で最適と考えられる構造や方法が採用されてきた.しかしながら,支承部の変状は経年とともに増加傾向にあり,国鉄時代に作成された「鋼鉄道橋支承部対策の手引き」も,既に作成から30年以上が経過しており,記載されている事例は古く,最新の技術基準とも整合を図る必要があった.そこで,当該手引きの内容を全面的に見直し,新たに「鉄道橋支承部対策の参考資料」として,鉄道橋の支承部に発生する変状の原因究明から対策までのプロセスを具体的に記載することで,JR東日本で鉄道橋の維持管理に携わる全技術者が容易に理解できる資料を作成した.これに基づき適切な対策を実施することを目指した.