大月保線技術センターは,東京都から山梨県を結ぶ中央本線,藤野~春日居町駅間における軌道の保守管理を行っている.管内は山間区間であり,曲線区間が多く,トンネルや橋梁等の構造物が多いことが特徴である.現在は電化路線だが,蒸気機関車で走行していた時代から使用している構造物も数多く残っている.特に建築限界が十分でないトンネル(以下,狭小トンネル)内の軌道変位に対し保守管理に苦慮している.なおかつ狭小トンネルでは山からの湧水の有無,勾配,線形など場所ごとに特徴があり,様々な要因が軌道変位進みを助長している.本稿では,大月保線技術センターで取り組んでいる狭小トンネルにおける軌道修繕事例や今後の展望について紹介する.