2023 年 2 巻 1 号 p. 43-47
線路設備管理においてレール張り出し事故防止は安全安定輸送の確保のために重要な責務である.保線系統ではレール張り出し事故を未然に防ぐため,ロングレール検査を行い,必要に応じて設定替えを行っている.しかしながら,JR東日本管轄内においてレール張り出しを根絶させることはできていない.そこで本研究では,通常検査の補助手段として通り変位データに着目し,通り変位データを活用することでレール張り出しの予兆把握が可能か検討を行った.検討の結果,レール張り出しに至る過程で,通り変位はレール温度の上昇に伴い増大するといった特徴があることが分かった.そのため,通り変位の高頻度データで分析することでレール張り出しの予兆を把握することができ,計画的な対策工を実施できる可能性がある.