2023 年 2 巻 1 号 p. 59-65
鉄道沿線斜面からの落石と列車との衝撃・脱線を回避するために,徒歩巡回や斜面踏査を基本とした落石検査,落石防護設備の強化によるハード対策および落石検知装置等の整備によるソフト対策を実施している.過去の落石災害を分析した結果,落石の恐れのある不安定な領域が広範囲に分布している斜面からの発生が多く,斜面全体を面的に検査することが重要であることがわかった.しかしながら落石斜面は数が多く,また急峻な箇所が存在することから,斜面踏査には多大な労力がかかる上に危険な作業をともなうことがある.そこで本研究では落石検査に着目し,面的な検査を効果的に実施するため,ドローンに搭載したレーザスキャナにより上空から取得した三次元点群データを活用した落石検査方法を検討した.そしてこの方法を現地で検証し,効果的な落石の面的検査を実現できる可能性があることを示した.