2024 年 3 巻 1 号 p. 126-135
張出し片持架設工法で建設中のPC箱桁橋を対象に,合成曲げ応力が異なる4段階(閉合前)において,マルチチャンネル衝撃弾性波法による計測を行い,表面波の伝搬特性(位相速度・振幅減衰)を算出した.その結果,合成曲げ応力と表面波の伝搬特性(位相速度・振幅減衰)は,極めて相関が高いことがわかった.この結果を参考に,合成曲げ応力を非破壊で評価する手法を提言し,架設後(閉合後)に,再度計測を行うことで,本手法の妥当性も検証した.その結果,振幅減衰の推定誤差は大きいものの,位相速度から推定した合成曲げ応力と設計上のそれは概ね等しいことがわかった.したがって,マルチチャンネル衝撃弾性波法により得られる位相速度を活用することで,PC箱桁橋に作用する合成曲げ応力を非破壊で精度よく推定できることが明らかとなった.