2024 年 3 巻 1 号 p. 136-144
戦後急速に整備が進められた下水道施設(とりわけ40万km以上にも及ぶ管渠)は,今後急速に老朽化が進むことが懸念されるが,人口減少も進む中で下水道を整備・管理する自治体の置かれた状況(人員・技術・予算など)は一般的に極めて厳しい.また,その運用が自治体の采配に委ねられてきたこともあって,下水道管理の状況は財政面のみならず技術的側面も含めて自治体によってまちまちでもある.そこで本研究では,下水道運営の諸相に関わる6つの指標を用いて全国の自治体を6つのグループに類型化し,それぞれのグループの特性を俯瞰的に把握した.その上で,各グループから計9カ所のサンプル自治体を選んで詳細調査を実施し,各グループが共通的して抱える課題を明らかにして,今後の改善方策を論じるとともに,あわせて個別性の高い問題を考察した.また,下水道に関わる各種の重要数値や統計のあり方など,全国に共通する課題について論じた.