2024 年 3 巻 1 号 p. 116-125
跨線橋の定期点検では,鉄道の運行が終了する夜間に実施する場合が多く,点検に要する資機材等の搬入出や,き電設備等への防護設置等の時間も要するため,点検実務に割ける時間が少ない.その上,各鉄道事業者による軌道や電気設備等の保守作業もあることから,橋梁点検を実施できる日の決定には制約を受ける.また,架け払いの足場などを用いて点検を実施する場合には,橋梁点検員以外の人員が多く必要となり,その結果,点検以外の費用も多く要する等の課題もある.これらの課題に対して効率的に取組む必要があり,その一つとして新技術の活用が想定されるが,これのみでは改善できる範囲に限りがある.そこで本論文は,跨線橋の定期点検における予算編成から点検の実務までにおいて取り組んできた効率化の実態を示すとともに,今後の更なる効率化に向けた展開についても示した.