2025 年 4 巻 1 号 p. 105-114
本技術の効用は,合流式下水道緊急改善事業後も管路システムの課題で残る雨天時越流水(CSO)問題の解決,豪雨流量の不完全な分水制御で機電設備や貯留管増設等の対応で計画が進む防災事業の改善である.著者らは既往研究において,分水施設での流量調整槽の複数化によって分水制御の管理精度を格段に高める技術を考案し,この流量制御管理技術に基づいて公共用水域環境の保全対応を図る管路システムを提案した.また,豪雨時にも正確な自然分水で対象流域の治水安全を図れる設計事例を提示し,その水理現象を数値流体力学解析で立証してきた.本稿はこれ等を受け,分水施設の付属設備(スクリーン,阻流壁)の効果を新たに追加検証し,新たな分水施設の設計法のマニュアル化に向けた要点を総合的に取り纏める.