2025 年 4 巻 1 号 p. 95-104
我が国の道路橋は,高度経済成長期に集中的に整備され,今後急速に高齢化を迎える.道路橋のうち鋼橋では点検によって疲労き裂が確認されることがある.疲労き裂の調査は,磁粉探傷試験による調査が一般的である.近年,長距離無線通信が可能なLPWA(Low Power Wide Area)無線モジュールが開発されているが,実橋で適用された報告事例は少ない.そこで,本論文では,交通規制や現場作業に制約がある実橋で発生した疲労き裂に対し,動ひずみ計測を行い,発生原因を推定した.また,疲労き裂の対策を施す前後を含んだLPWAによるモニタリングを行い,対策効果について検証した.計測の結果,発生原因の推定と対策効果の確認が可能であることが示され,LPWAを活用した計測の有効性が確認できた.