2025 年 4 巻 1 号 p. 220-229
凍結防止剤散布量の多い地域の橋梁上部工及び下部工を対象として,第三者被害予防措置後の変状進行のシナリオを構築し,漏水,伝い水等の違いにより変状の進行には差異が見られた.また,変状進行の有無の違いによる累積損傷面積の増加勾配の違いを明らかにした.最小かぶりが規定された後に建設された橋梁はかぶり不足を原因とする変状が減少,設計基準に耐久性の検討が章立てられた後に建設された橋梁は耐久性検討に関連する変状が減少した可能性がある.かぶり不足を原因とする損傷判定区分の遷移を,マルコフ遷移確率行列による状態確率分布を用いて予測し,かぶり規定の有無による差異を明らかにした.