2025 年 4 巻 1 号 p. 268-274
ゴム引布製起伏堰に用いられるゴム引布の疲労破壊メカニズムについて,引張試験を実施し,実験的に検討した.その結果,補強繊維の継ぎがある接合部ではゴム引布の破断強度は低下し,疲労破壊に対する強度も小さくなった.また,ゴムや補強繊維の接着部を起点としてせん断はく離破壊が生じる可能性があり,その場合,補強繊維の疲労破壊よりも小さい応力レベル,または,少ない繰返し載荷回数で破壊に至る可能性がある.そのため,接合部近傍で外層ゴムの亀裂等が確認されたときはゴム引布の内部状態に注意し,接合方法等も併せて確認する必要があると考えられた.