2025 年 4 巻 1 号 p. 258-267
佐世保市にとんねる横丁と呼ばれる,戦中に作られた地下壕を現在も店舗等として活用している市場(戸尾市場)がある.店主は,地下壕の地主である佐世保市へ借地料を支払い,毎年審査を受けて店を運営している.地下壕の上には,統合によって廃校となり,今は,地元のNPO法人が運動施設として運営管理しているグラウンドや旧校舎,旧体育館があり,市街地に位置することもあって利用者は多い.廃校が決まるころから学校跡地をどのように活用するか市,地元,が継続的に協議・検討をしている.本論文では,市場を存続させた場合に問題となる地下壕の健全性を評価するために行った調査や評価の手法と結果について述べる.また,この歴史的な地下構造物を維持管理するための今後の点検手法等を提案する.