2025 年 4 巻 1 号 p. 303-307
スラブ軌道は定期的な保守を必要としない軌道として開発され,新幹線をはじめ,一部の在来線で適用されている.しかし,環境条件が厳しい箇所に敷設されたスラブ軌道の一部では,欠損や隙間等の劣化がてん充層に生じている.てん充層の劣化度は夜間に実施される欠損幅および隙間量の定期検査等で判定されている.劣化度の判定はてん充層外周部の情報のみで実施されており,てん充層内部の劣化状態を反映した定量的な指標は用いられていない.そこで,本研究では定量的な指標に基づいて劣化箇所を判定することを目的に,軌道支持剛性測定装置を用いた重錘落下試験によりてん充層の支持状態を評価する方法を検討した.その結果,軌道ばね係数および応答変位遅延時間を用いることで,てん充層の支持状態を評価できる可能性があることを確認した.