2025 年 4 巻 1 号 p. 338-347
石川県の日本海沿岸部に位置し,塩害劣化を生じたプレテンションPC桁の架替えに伴い,外観変状の異なる2本の桁を選定して静的載荷試験を行った.その結果,目視により顕著な剥離,鉄筋腐食が見られない桁の方が,コンクリートの剥離とPC鋼材の腐食がかなり進行した桁に比べて耐荷力が低下していた.本研究では,両桁の外観変状と耐荷力との整合性を検討するため,材料調査および各種試験を行ったところ,両桁ともに塩害とASRによる複合劣化を生じていたことがわかった.これらの結果をもとに,塩害による鉄筋腐食が顕著な桁を対象として,数値解析からPC鋼材の腐食範囲と曲げ耐荷力の関係を明らかにした.