2025 年 4 巻 1 号 p. 378-386
東日本旅客鉄道株式会社では,膨大な数量の地下・トンネル構造物を維持管理している.これらのトンネルでは,供用開始後に軌道構造を支持する路盤に変状が発生することがある.トンネルの路盤部の安定性を維持するためには,デジタルツールを用いて路盤の変状を精度よく把握し,効率的に維持管理していく方法の確立が求められる.本稿では,鉄道トンネルの路盤の沈下に関する調査の効率化について,技術者による路盤の沈下に起因する変状の状態及び変化の把握に,軌道整備の履歴やMobile Mapping Systemで取得した三次元点群データを活用することで,技術者による調査の精度的な補完や調査の範囲を拡充させる方法を検証した.一連の検証により,提案する方法による路盤の沈下に関する調査の効率化の可能性について論じ,期待される効果を示した.