2025 年 4 巻 1 号 p. 387-396
愛媛県内のあるPC床版橋において,横締めPC鋼棒の破断・突出事例が発生した.突出の有無にかかわらず破断の判定をする必要があった.近接目視,打音検査,透過法超音波試験による全数調査を実施した.明らかに破断・分離している鋼棒においても,鋼棒端部から入射した超音波が,振幅が低減されながらも鋼棒の他端部のセンサーで検出された.鋼棒を伝播した超音波が破断部で周辺コンクリートをバイパスして鋼棒に再入射するというメカニズムが想定された.そこで,そのバイパスメカニズムを確認するための小型の鋼棒コンクリート梁模型を用いて実験を行った.鋼棒が破断・分離していても透過超音波が他端で検出できた.梁模型をモデル化した数値解析を行い,波動バイパスメカニズムを検証し,横締めPC鋼棒破断検出のための透過超音波試験方法として成立する可能性を示した.