インフラメンテナンス実践研究論文集
Online ISSN : 2436-777X
実践研究論文集
塩害環境下の開削トンネルにおける吹付け補修工法の開発と実工事への適用
小瀬 喜巳細田 暁齋藤 誠宇津木 浩行
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2025 年 4 巻 1 号 p. 38-47

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抄録

 臨海部付近に位置する都市トンネルにおいて海水混じりの漏水に起因した塩害劣化の進行が著しく,維持管理に苦慮している.そのため,繊維入りポリマーセメントモルタルにカルシウムアルミネート系混和材の急硬材と塩分固定材を配合し,液体可塑剤を吹付設備の先端ノズル手前で添加する新たな吹付け補修工法を開発した.さらに,実構造物を用いて,施工後の補修部周辺におけるマクロセル腐食による再劣化に対する抑制効果を自然電位測定によって確認した.その結果,補修から24ヶ月後も腐食電流は制限され,再劣化の傾向はみられなかった.その後,鉄道営業線内における実構造物での補修工事に適用した.その結果,補修箇所に初期ひび割れなどの変状は発生せず,十分な付着強度も確認され,かつ鉄道営業線工事において約20%の工事費縮減を実現した.

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