本研究では,橋梁点検における「損傷・劣化の見過ごし,見誤り」や「損傷程度の誤判定」を防ぎ,信頼性の高い点検実施のために,デジタル野帳を開発し,実橋梁での実装検証を行った.デジタル野帳を用いることで,タブレット端末に構築した橋梁3Dモデル上に,類似橋梁の損傷事例や,損傷・変状が生じやすい個所を表示することができるため,従来手法と比べて塗膜割れの点検漏れ防止に有効である傾向が得られた.また,点検1個所当たりの作業時間や点検調書の作成時間についても,従来手法と比較して短くなる傾向を示しており,デジタル野帳を使用することで,点検精度の向上による信頼性の確保と作業の効率化に有効である可能性を示した.