2026 年 5 巻 1 号 p. 433-442
インフラ維持管理の導入教育では,暗黙知的技能を初学者でも体験的に学べる形での提示が求められる.本研究ではスマートフォンアプリを組み合わせた全4回の打音検査実習を大学生に実施し,19項目アンケートで教育効果を検証した.短時間の体験でも多くの受講者が理解感と音の違いの手応えを得ており,可視化支援がその理解を支えた.現地・教室・動画を組み合わせた体験構成がもっとも効果的である一方,教室中心でも一定の成果を確認できたことから,場面構成を目的や制約に応じて調整する余地が示唆された.理解感の向上は点検意識と関連する一方で,単一の体験場面では意識が伸びにくい層も存在し,体験の重ね方が意識変容の鍵となった.今後は,研修等への展開や理論補完教材等の整備を検討する必要がある.