抄録
本論文は, 鋼斜張橋の合理的なケーブル安全率について, 疲労安全性の観点から考察を行うものである. 検討の対象としたのは, 3径間連続鋼斜張橋であり, 中央径間長, ケーブル安全率を変化させて試設計したモデルである. ケーブルの疲労については, 設計で考慮される引張応力の変動だけでなく, 定着部での2次曲げによる応力変動も考慮し, 実働活荷重を模擬したモンテカルロシミュレーションによって疲労損傷度を評価する. 鋼斜張橋のケーブルは, 2次曲げ応力を考慮した場合でも十分な疲労耐久性を有しており, 安全率を変更したことによる疲労安全性の低下が小さいことを明らかとし, 安全率の設定方法について考察を行う.