教育方法学研究
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研究論文
昭和初期における奈良女子高等師範学校附属小学校の合科主義公民教育論
岩瀬六郎の理論と実践をもとにして
福田 喜彦
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2021 年 46 巻 p. 73-83

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抄録

本稿の目的は,昭和初期における奈良女子高等師範学校附属小学校の公民教育論を岩瀬六郎の理論と実践をもとにして明らかにすることである。先行研究においては,岩瀬は合科学習を基盤にした「生活修身」「生活教育」の視点から分析されてきたが,奈良女高師附小の理論の鍵となる「公民教育化」によって,授業プランをどう具体化したのかという視点では検討されていなかった。そこで,本稿では,奈良女高師附小の機関誌『學習研究』での議論を踏まえ,岩瀬の公民教育の理論と実践を「公民教育化」という視点から考察した。本稿で明らかになったのは,以下の3点である。第一に,岩瀬は修身教育の題目の中に公民教育を担う教材を見出し,修身教育が道徳教育としての徳目をただ教授するのではなく,それをもとに公民教育の充実を図ろうとしていたことである。第二に,岩瀬は公民教育の内容として,政治的・経済的・社会的なものを重視し,初等教育段階では,各教科が連携して児童に公民的訓練を施すことが重要だと考えていたことである。第三に,岩瀬は修身教育を基礎にして公民教育のカリキュラムを提案し,尋常科第四学年から高等科第三学年までを視野に入れて,段階的に発展させていこうとしていたことである。今後は,昭和戦前期の他の公民教育論とも比較し,戦後の社会科や公民教育論との間にどのような関係があるのかを検討することが課題である。

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