抄録
橋梁の動的モデルとして運動方程式を離散化して状態空間表示し, これを可観測変換して多次元ARMAモデルで構成した. 多次元ARMAモデルを構造同定することにより, 既存橋梁から断面算定して運動方程式を算出する必要がなくなる利点がある. このモデルの構造同定を, 衝撃加振試験による最小二乗法により行った. 橋梁の多次元ARMAモデルと車両の離散化された運動方程式より, 離散化された橋梁―車両系の方程式を誘導し, この橋梁―車両系モデルの有効性を数値シミュレーションより確認した. さらに, 路面凹凸を確率過程でモデル化し, 離散化された橋梁―車両―路面系の共分散方程式を誘導した. その定常応答解析から着目点の橋梁振動レベル (rms値) の予測法を提案し, その有効性を数値シミュレーションより検証した.