1996 年 1996 巻 544 号 p. 101-107
本研究では, アルカリによるガラス繊維強化プラスチック (GFRP) ロッドの劣化メカニズムを明らかにするために, 水酸化ナトリウム (NaOH) 溶液による劣化促進試験を実施し, ロッド内部へのNaの浸透を電子線マイクロアナライザー (EPMA) を用いて確認した. また, 浸漬したロッドの静的引張試験を実施し, 強度変化についても明らかにした. その結果, ロッド内部へのNaの浸透が確認され, 高温・高濃度条件で浸漬したロッドは強度低下を生じることが分かった. 特に, アルカリの浸透については, その浸透速度を拡散律速理論によって評価し, マクロ的ではあるが, 劣化したロッド強度低下を定量的に推定した.