1996 年 1996 巻 544 号 p. 89-100
コンクリートの施工においては, 一般にセメントの水和熱に起因する温度応力によるひび割れ発生および制御の可能性を検討する温度応力解析が行われている. この温度応力解析に必要となるコンクリートの物性値は数多く, それぞれ既往のデータあるいは試験結果を参考に平均的な値が用いられている. これらの値は示方書などに提示されているが, 施工現場の環境条件や使用材料の違いにより異なることが知られている. 本研究では, 既に提案した逆解析による熱特性推定手法を現場計測データに適用し, 現場におけるコンクリート熱特性値推定の可能性を検証し, また, これに伴う問題点について考察した.