1996 年 1996 巻 544 号 p. 121-130
本研究は、粉体系高流動コンクリートの配合設計において重要である粉体の保水能力に着目し、粉体の粒子形状や粒度分布が保水能力に及ぼす影響について検討したものである. 特に, 粒子形状は形状係数により, また, 粒度分布は標準偏差により定量化し, それらが保水能力に及ぼす影響を粉体の充填性と関連づけて検討した. その結果、長短比と凸凹係数を用いた形状係数は粒子形状を表わす有効な手段となること, 粉体の充填性は粒子形状と粒度分布に関係し, 粒子形状が球に近いほど, かつ, 粒子全体にわたり粒子間の隙間を埋める別な粒子が存在するような粒度分布ほど充填性が良いこと, 粉体の保水性能のうち粒子形状は粒子表面への吸着水に, 粒度分布は粒子間保有水に関係すること等が明らかになった.