1996 年 1996 巻 544 号 p. 131-140
建設中の阪神高速道路湾岸線の鋼床版上RC高欄に, 従来の乾燥収縮などに比べて, ひびわれ間隔および幅とも著しい, 鉛直方向のひびわれが確認された. ひびわれ状況の経時変化調査により, ひびわれは温度上昇の大きい夏期に増加が著しいことが明らかになった. 解析および追跡調査により, ひびわれ発生原因は, 鋼床版上に鉄筋スタッドにより固定されているRC高欄が, 温度上昇に伴う鋼桁の変形に追随するために生じることが明らかとなった. そこで, ひびわれ幅を減少させるために, 10m間隔に伸縮目地を設けること, および膨張材入りコンクリートを用いる改善策を実施した. その結果, 試験工区における追跡調査によると, ひびわれ幅は0.14mm, 平均ひびわれ間隔が1.8m程度と大幅に改善され, これら手法が有効であることが明らかになった.