1997 年 1997 巻 569 号 p. 29-41
自然環境の豊かさは郊外観光地域における魅力度の重要な構成要素と考えられるが, 多くの観光地域においては, 観光需要の増加が開発面積の増加に支えられたものであり, その結果, 森林・緑地等の減少を生じている. こうした自然的土地利用の減少の契機の一つは言うまでもなく交通改善であるが, 如何なる条件下で交通改善が減少をもたらすかは明らかにされていない. 本研究では, 自然環境としての自然緑地の豊かさを魅力度指標として考慮した観光需要のモデル化とデベロッパーの観光開発行動のモデル化を行い, 両者の同時決定システムとして地域毎の観光入り込み客数と自然緑地の賦存量の決定を表現する. これにより, 交通改善の長期的な環境への影響に関する定量化方法を構築する.