1998 年 1998 巻 598 号 p. 227-238
高次精度風上差分法の数値粘性がSGS乱流粘性に卓越することを防ぐ方法として提案されている large-eddy simulation の手法を, 一様流中の正方形角柱まわりの複雑乱流場の計算に適用した. 角柱に働く空気力係数を実験値と比較することで, この手法のパラメータである数値粘性項の係数とフィルタ幅を変化させることによる予測値への影響を検討している. また, 角柱まわりの風速の変動成分について, カルマン渦の放出に伴う周期的成分とランダム成分に分けて実験値と詳細な比較を行っている. 特に角柱側方の剥離剪断層内におけるランダム成分の発達の具合はパラメータの変化に強く影響を受けており, これが正しく再現されるようにパラメータを設定することで空気力係数や流れ場全体の解が改善されることを確かめた.