1998 年 1998 巻 598 号 p. 247-256
宇宙構造物の建造にはロケット等による輸送が前提となるため, 軽量でかつ畳み込みやすい膜面やケーブル等の柔軟な構造形式が適している. 一方, 宇宙空間において構造部材の再利用を行ってコストダウンを図り, さらに構造物を大型化していくためには, 一度展開した構造物を再び収納する技術が重要である. そこで, 本研究では, 宇宙実験・観測フリーフライヤー (SFU) 回収時の太陽電池アレイ収納不良を対象として取り上げ, 柔軟な膜面展開構造物の収納時挙動を実験・解析の両面から検討した. その結果, SFU回収時の収納不良は, 展開時と収納時で変形経路が異なる一種の飛び移り現象 (snap-through) によるものであることが明らかになった. さらに, 解析に基づいて, この現象に対する構造的対策を提案した.