1998 年 1998 巻 598 号 p. 257-268
構造材料・地盤材料の終局状態では極限解析で得られるパターンによく似た局所化した変形が観察される. その局所化した変形がどのように発達して終局に至るかを知ることは, 履歴中の複雑な非線形挙動を予測する上で重要である. ここでは比較的少ないパラメータで, 発達する局所的な変形を大変形領域まで安定して追跡でき, かつメッシュ依存等の数値解析上の問題点を持たない構成モデルを提案する. 特徴は, 局所変形の発生条件成立後に, 微視すべりによる第二の非弾性成分を組み込んだことである. この第二のメカニズムを二重すべり理論で表し, 弾塑性モデルに重ねたが, 引っ張り試験による数値ベンチマークテストでは安定した解析結果を得ることができた. この構成モデルの応用例として, 圧縮試験片の挙動と, 古典的な押し込みの問題を取り挙げ, その適用性を定性的に示した.