抄録
本研究は, 香月・Frangopol によって提案された放射状領域分割法の解析精度と計算効率を向上させるため技法の改良を行い, トラス構造物の塑性信頼性解析法への適用について検討したものである. まず, 標準正規確率変数空間の領域分割の均一性を向上するために, 分割領域の中心線ベクトルを周期型組み合わせ配置法に基づき創出する方法を提案した. 続いて, 確率変数の多い多次元空間における計算効率を向上させるため領域分割の細かさを2段階で調整する2段階領域分割法の技法を提案した. 最後に提案手法をトラス構造の塑性信頼性解析に応用しその適用性について検討した. 本論文では, 数学的基本例題によって, 周期型組み合わせ配置法による中心線ベクトル創出法および2段階領域分割法の計算精度および効率についてモンテカルロ法や方向シミュレーション法と比較検討したうえで, トラス構造の塑性信頼性解析においては, 土石流荷重を受ける鋼製砂防ダムの問題を取り上げその適用性について検討した.