1998 年 1998 巻 598 号 p. 287-298
墓石の転倒に関する研究は古くから行われているが, 墓石の回転現象と地震動特性との関係を明らかにした研究はほとんど見当たらない. そこで本研究では, 強震時の直方剛体の動的挙動, 特にその鉛直軸まわりの回転挙動が生じる原因を, 振動台模型実験及び3次元DEM解析を通して検討した. 直方剛体の回転挙動は, 振動の卓越する方向に回転する挙動と, 入力波の粒子軌跡が回転することによって剛体が逆方向に回転する挙動の2つに分類できることがわかった. さらに, 三陸はるか沖地震の際に回転した墓石の極く近傍で観測された加速度記録を用いてその回転挙動を再現した. これらの検討の結果, 特殊な場合を除けば, 墓石の回転方向は地震動の加速度粒子軌跡の回転の逆方向を表わしていると結論された.