1998 年 1998 巻 598 号 p. 65-73
近年の鋼材の強度特性の向上から, 今後, 橋梁構造の合理化の為に鋼板の板厚方向に応力が作用するディテールを活用していくことが考えられる. 本研究では, 吊橋の箱断面補剛桁のハンガー定着部の溶接継手ディテールを対象に, 鋼板の板厚方向特性を, 静的強度, 破壊じん性値, 疲労強度に注目して検討した. またその際, 鋼板の化学成分, 特にS (硫黄) 量にも注目し, 化学成分の強度特性に対する影響を検討した. その結果, 鋼材のS量を制御すれば, 対象とした継手部の安全性は十分確保できることが明らかにされた.