2000 年 2000 巻 651 号 p. 61-79
シールドトンネルの漏水は, トンネル本体の劣化ばかりでなく, トンネル周辺地山の劣化も引き起こすことから, 漏水の処理にかかるランニングコストもさることながら, トンネルの耐久性を考える上でも重要な問題となっている. トンネル内への漏水が発生する箇所は, そのほとんどがセグメントの継手部であり, 継手面に貼付するシール材の選定が, トンネルの防水には特に重要である. しかしシール材の材質や形状寸法等の選定は, 従来からの経験や実績に基づき行なわれてきたのが実情であり, 止水設計法と呼ばれるようなものは現状では確立されていない. 本研究は現在もっとも多く使用されている水膨張シール材を対象に各種の止水試験を行い, その結果から密封の原理 (パッキン理論) に基づくシール材の止水設計法を提案するものである.