2000 年 2000 巻 665 号 p. 117-136
地盤改良工法や切ばりプレロード工法を採用した掘削土留め工では, 一般の場合に比較して土留め壁の変形が小さく, 結果として背面側土圧が一般の場合より大きくなると考えられることから, 背面側土圧を土留め壁の変位に関係なく既知量として与える設計方法を用いることは適切ではない. このような場合には, 背面側にも地盤ばねを考える計算法を使用することが考えられるが, そこで必要となる背面側の水平地盤反力係数と最小土圧の設定には確立された方法がない. 本論文では, 有限要素法を用いた数値計算結果に基づいて, 背面側の水平地盤反力係数と最小土圧の設定方法を提案するとともに, その提案を掘削面側地盤を改良した現場と切ばりプレロード工法を採用した現場へ適用した結果についても述べる.