2001 年 2001 巻 667 号 p. 113-121
本研究は, 企業が通信と対面型コミュニケーション (交通) を介して行う地域間情報交流活動を定量的に評価することを目的として, 情報交流手段の分担メカニズムの考察を行った. 既往の文献から対面型コミュニケーションの特長を整理して, 情報伝達の複雑性は情報量の多さではなく, 課題の達成に必要な情報交流の複雑性 (課題の複雑性) によって表わされることを指摘した. これらの考察より, 課題の複雑性のODペアごとの違いを考慮した情報交流量モデルを定式化した. モデルを都道府県間交流データに適用して推定し, さらに重力モデルとの比較を行ったところ, 提案したモデルは重力モデルと同等の適合度を示した. またシミュレーション分析により, OD別のコスト弾力性など, 情報交流の特性をより柔軟に表現できることが明らかとなった.