2001 年 2001 巻 687 号 p. 95-105
本研究では, 空気との接触によって徐々にpHが低下する土, いわゆる「酸性移行を呈する土」のpHの低下速度に及ぼす日数や温度の影響を調べるために, 現場で採取した未だ酸性化していない土を室内で所定の期間保存したところ, pHの推移には保存日数や温度が深く関わっており, 日数が長いほど, また, 温度が高いほどpHが低くなることが明らかとなった. また, pHの推移に及ぼす日数と温度の影響を定量的に評価するために積算温度の概念を導入した結果, 積算温度とpHとの間に直線関係が成立するという新たな知見が得られ, 原位置における追跡調査によりこの手法の有効性を確認した. さらに, 積算温度方式を導入した評価式を用いることによって,「酸性移行を呈する土」の工学的性質を推定することが可能であることが示された.