2001 年 2001 巻 690 号 p. 121-132
コンクリート構造物の損傷検出に対する目視・打音検査は, 有効な検査手段であるが, 検査結果の信頼性・客観性と作業の安全性に問題がある. そこで, 非接触スキャニング振動計測が可能なレーザードップラ速度計を用いて構造物の振動特性に着目した損傷検査手法の構築を試みた. コンクリート供試体を用いた実験では一例として空隙検出に着目し, 鋼球による打撃入力を与えながら供試体の振動計測を行い, その振動モード形から空隙部分を視覚的に検出できることを示した. さらに, 作業の効率性と安全性の向上を目的として, 音圧加振を用いた入出力ともに完全な非接触検査手法も提案した. その結果, 打撃加振時と同様に空隙部の局所的な振動モード形から空隙部を視覚的に判断することが可能であることが明らかとなった.