2001 年 2001 巻 693 号 p. 25-34
薬液注入工法は, トンネル・シールド工事や開削工事における地下水対策と地山の安定を目的として採用されること力沙なくない. ところが, 注入材の浸透性は, 地盤の粒度状態や不均一牲によりばらつきが生じるため, 改良効果に対する信頼性の欠如が避けられないのが現状である, 改良効果の予測に関する研究では, 注入材の浸透性の予測や試験注入時や注入後の調査による確認に関するものが多い. 本報告では, 原位置での注入固結体の強度を推定し, 注入形態を考慮した改良範囲のモデル化を行い, 掘削時を想定したトンネル掘削のFEM解析結果から注入改良範囲の力学的安定性と止水性の予測手法に関する提案を行った. 止水性は, 掘削時における注入改良範囲の変形挙動を考慮した安定性を評価したものであり, 注入の設計を支援し信頼性を評価する上で有効な一提案になり得ると考える.