土木学会論文集
Online ISSN : 1882-7187
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電力供給量の変化に着目した建物被害評価に関する基礎研究
秦 康範目黒 公郎
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2002 年 2002 巻 696 号 p. 185-195

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抄録

地震直後の被災地域の特定と被害量の把握は, 防災関連機関の初動を決定する上で極めて重要である. 本研究は地震前後の電力供給データを用いて, 地域ごとの被害評価を試みるものである. すなわち, 配電用変電所の供給エリアを地域単位として, 地震前の電力需要から地域特性を把握するとともに, 地震後の電力供給量の落ち込み具合から供給エリア内の建物被害を評価する手法を提案し, 両者の関係について分析した. その結果, 地震後の電力供給量の低下は地域の建物被害と高い相関を持つことが確認されるとともに, 提案手法が, リアルタイム評価が可能, 新たな設備投資がほとんど不要, 天候や時刻に左右されない観測が可能, など有利な点を多く有し, 実用に向けて大きな可能性があることが示された.

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